〜愛知県・豊橋カレーうどん〜

普段は東京でみつけたうどんの名店を紹介している「東京うどん日和」。
この連載、実は僕、ホフディランの小宮山雄飛が毎回書いていたんです。
そんな僕、小宮山雄飛が番外編では東京を飛び出し、全国の名物うどんをご紹介します。

豊橋駅

豊橋に面白いご当地カレーうどんがあるという話を聞いて、初めて豊橋に降り立ちました。
愛知県の東南端に位置し、東京から新幹線なら最短1時間20分とアクセス良好。
街中には東海地域では唯一の路面電車が走り、駅前から伸びる昭和レトロな雰囲気の<水上ビル>など、旅情をかきたてられる景色が広がります。

豊橋

そんな豊橋で2010年にご当地グルメとして誕生したのが、豊橋カレーうどん。
元々、豊橋は市内に約100店舗ものうどん店がある、うどん文化の町。
豊橋のおいしいうどんを県外の人にももっと知ってもらおうと、観光協会と地元の麺類組合、市役所が一緒になって考えたご当地うどんが、豊橋カレーうどん。 その五箇条とは

  1. 自家製麺を使用する。
  2. 器の底から、ご飯・とろろ・カレーうどんの順に入れる。
  3. 豊橋産うずら卵を使用する。
  4. 福神漬け又は壷漬け・紅しょうがを添える。
  5. 愛情を持って作る。
うどん断面

なかでも最大の特徴は、丼の下からご飯・とろろ・カレーうどんという順番の3層構造になっている点。
カレーうどんなのに、中にとろろご飯が入ってる!?
想像のかなり上を行く超個性的なカレーうどん。
百聞は一食にしかず、ということでさっそく食べに行ってきました。

玉川うどん豊橋広小路本店

1軒目に訪れたのは「玉川うどん豊橋広小路本店」。
明治42年創業、100年以上の歴史を誇る老舗の人気店です。
メニューにありました!豊橋カレーうどん。

玉川うどん豊橋広小路本店

様々なトッピングの組み合わせが楽しめるようですが、なにしろ初の豊橋カレーうどんなので、今回は基本の基、ノーマルタイプをお願いします。

玉川うどん豊橋広小路本店

ついに初対面!
五箇条にあるように、確かにうずら卵も乗っています。
ちなみに豊橋は、うずら卵の生産量が日本一なんだって。
食べるだけで豊橋のことに詳しくなっていきます。
それでは、さっそくいただきましょう。

玉川うどん豊橋広小路本店

粘度が高く、どろっとしたカレーが太めの麺にからんで、実に濃厚な味。
麺はもっちりとしたやわらかめの食感が魅力。

玉川うどん豊橋広小路本店

カレーは和風だしの奥深い旨みがあります。
まずは上のカレーうどん部分を先に食べるのが、正式な食べ方ということで、一気に食べ進みます。
麺を食べ切ったところで、いよいよレンゲで残ったスープの下の方をすくってみると。
ご飯が出てきた!

玉川うどん豊橋広小路本店

分かってはいましたが、カレーうどんの下からご飯が出てくるのは、やっぱり新鮮な驚き!
食べてみると、意外にもとろろがいい仕事をしてる。
そのままカレーライスになるのかと思いきや、とろろが入っていることで、カレースープとご飯がまったりといい感じで混ざるのです。
カレーうどんとご飯をセパレートするためのとろろが、食べる時には逆にカレーとご飯を見事にマッチングさせてくれます。
めちゃくちゃ良く考えられた組み合わせ。
初の豊橋カレーうどん体験、しっかり堪能しました。

玉川うどん豊橋広小路本店
玉川うどん4代目店主・真野雄介さんと

豊橋カレーうどんツアー、2軒目は仲ノ町にある「ナザレうどん」。
住宅街にある、近所の人からも人気のお店です。

ナザレうどん

こちらのお店はうどんの基本のだしを、とんこつと鶏ガラからとっているという珍しいお店。
60年前の開店当初からうどんと一緒にラーメンがメニューにあり、ラーメンのだしをうどんにも使ってみたら実においしかったからというのが始まりだそう。

ナザレうどん

うずら卵とかまぼこで小さな笑顔になってるのが可愛らしい。
とろみがかったカレーは、やさしい口当たりながら、とんこつ鶏ガラだしの力強い味が印象的。

ナザレうどん

少し細めの麺は、ちゅるっと喉越しやわらかでおいしい。

ナザレうどん

サクッと揚げた麺を途中で食べるといいアクセントになって食べ飽きません。
そしてカレーうどんを食べ終わったら、ご飯に行きましょう。

ナザレうどん

スープの下を掘れば、はい出てきます、ご飯!
五箇条にある福神漬けが当然あいますねー。
下からご飯が出てくるのは単なる相性だけでなく、残りがちなカレーうどんの汁をしっかり最後まで食べれるようにという、フードロス対策でもあるのです。
豊橋カレーうどんは、SDGsも考えてるんです。

ナザレうどん
ナザレうどん店主・松坂馨さんと

豊橋カレーうどんツアー、最後の一軒は豊橋競輪場前にある「十勝庵」。

十勝庵

こちらには、めっちゃ映える豊橋カレーうどんがあるそう。
それがこちら!

十勝庵

上を覆うのは白いエスプーマ。
あれ?
五箇条にあったうずら卵はどこだろう?と思ったら、このエスプーマの素材に入っているんだと。
なるほど、てっきりゆで卵じゃないとダメなのかと思いきや、そういうやり方もあるのね。
さらに、まるでお花畑のような見た目をエディブルフラワーで演出。
なんと豊橋はエディブルフラワーの生産も日本一なんだと。
とにかく地元の食材をしっかり取り入れているのが豊橋カレーうどんなのです。
さっそくいただいてみると、このエディブルフラワーが単に見た目だけでなく、実にフレッシュで味がしっかりしてます。
さすが地産地消、新鮮な花は見た目も味もいい。

十勝庵

同じく地元産のミニトマトも甘さがしっかりあっておいしい。
エスプーマの効果もあって、汁はまろやかで上品な味ですが、しっかりカレーうどんになっているのが面白い。
麺はもっちりとした食感でクリーミーな汁との相性抜群。
そして最後はもちろん、とろろコーティングされたご飯。

十勝庵

あれ、普通のとろろご飯よりさらにトロっとしていると思ったら、白いカレーソースにはモッツァレラチーズも入ってたんだ!
これは単なるカレーライスではなく、ホワイトソースのグラタンを食べているよう。
一杯の器の中に、とにかく沢山の要素が散りばめられていて、もはや食べるエンターテイメント!
豊橋カレーうどんの奥深さを、しっかり味わいました!

十勝庵
十勝庵店主・和田拓児さんと

今回伺った3店だけでも三者三様のおいしさ、これが約40軒あるっていうんだから、豊橋に何度も通って全制覇したくなりました!
みなさんも、おいしくて楽しい豊橋カレーうどんを食べに、豊橋に行ってみてください!

豊橋駅
協力:チーム華麗・(一社)豊橋観光コンベンション協会
撮影:@株式会社SOWACA
   ディレクター:山口ダイゴ
   カメラマン:中田みさ
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