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プロジェクトストーリー

ProjectStory01 冷凍さぬきうどん 本場のさぬきのうどんを、全国へ広めたい。その熱い想いが、時間を超えた。

ProjectStory01 冷凍さぬきうどん 本場のさぬきのうどんを、全国へ広めたい。その熱い想いが、時間を超えた。

商品開発部 部長
C.T

入社以来、一貫して冷凍うどんを中心に麺類の商品開発に関わり、いくつもの新商品の立ち上げを経験。

M&S戦略部 チームリーダー
I.H

営業担当から商品企画担当となり、お弁当商材や冷凍うどんなどを中心に数々の家庭用商品の企画を担当。

挫折と情熱

1974年、香川からひとつの商品が生まれた。今でこそ専門店やチェーン店が各地に店を構えるほど、多くの人たちに愛されている「さぬきうどん」だが、当時は全国的には無名。香川から生まれた企業として、本場の味を全国へ届けることができないか。冷凍コロッケやえびフライのノウハウを使えば、おいしい冷凍さぬきうどんだってできるはず。しかも小麦は冷凍適性も高い。麺と言えばチルド麺が主流だった時代。冷凍さぬきうどんという新しいジャンルを開拓するチャレンジがはじまった。

C.T

初めは具付きうどんで一玉200円。これまでにない画期的な商品だったけれど、価格はチルド麺の数倍。一部の固定ファンは確保できたものの、これでは相手になりませんでした。ですので、翌年には一玉80円まで価格を落としました。

I.H

それでも売上は伸び悩むばかりで、実は一度発売を中止しているんですよ。

最大の要因は、製麺機の性能。大量生産すると仕上がりにムラができてしまうこと。これでは、すべての人がおいしいと言って頂ける目指す味には届かない。発売中止を決意した。

しかし1980年
製粉メーカーや製麺機メーカーと協力体制を組み、再度、冷凍うどんの開発にチャレンジ。
C.T

同じ小麦でも原料によって味やコシ、冷凍時間やゆで時間も変わってくる。その年の天候などによって、小麦の出来も変わるので、毎年原料を吟味し小麦粉の配合も毎年改良を加えています。

I.H

原料の配合を決めるまでに、通常は半年くらい時間をかけます。

C.T

さらに、ゆでたてのうどんには水分勾配があり、表面の水分量が80%前後に対して、中心は50%前後。時間が経つと水分は均等化し、コシがなくなります。だからゆでたてのおいしい状態からすぐに急速冷凍することが大切なんです。

I.H

開発当初は1時間かかっていた冷凍時間ですが、この1980年時点では30分に短縮。現在の最新の製造ラインでは、約15分くらいですね。

さぬきうどんのコシを再現するために、生地の中の空気を抜く真空ミキサーを導入。
また、原料も何度も小麦粉の配合やゆで時間を変えては、試食し、研究を続ける日々があった。
C.T

今や、食事はほとんど麺(笑)。パスタやラーメン、そばなど、あらゆる麺を食べます。おいしい店があると聞けば、すぐに行って食べてみる。そして何かヒントが思いつけば、翌日すぐに試してみます。チルド麺、乾麺の消費者にテーブルマークの冷凍麺をお試しいただきたい。だって、絶対うまいですから。それと、冷凍麺はレンジで調理できるのも強みですね。鍋でお湯を沸かさなくても調理できるので、安全だし後片付けの手間もかかりません。この手軽さを一般家庭の消費者にももっと広げていきたいですね。

I.H

開発は試行錯誤。開発室で求める味が再現できても、工場に行けばうまく再現できないこともある。工場内が毎日同じ湿度、温度を保っていても、その日の天気次第で、味やコシが変わったりもする。今でこそ、受け継がれてきたノウハウがありますが、当時は何度も工場と開発室を行き来しましたよ。当然、日中に製造ラインを止めることはできないから、開発した商品を工場で再現する作業は、夜を徹して行うこともありました。納得できる味が安定的に製造できないときは、「ゴーが出せない!」なんて言って工場の担当者を困らせたこともあります(笑)。
また、地域によっても好みに違いがあります。代表的なのは関東と関西。食文化が違えば、味の好みも変わります。冷凍うどんを全国に広めていく上では、各地の好みもしっかりと把握した上で、商品を開発しなければなりません。ですから、各地の好みを取り入れた品揃えをしています。

ヒットは15年後。あきらめたら「失敗」になっていた。

ヒットは15年後。あきらめたら「失敗」になっていた。

さぬきうどんのおいしさを届けたい。その情熱は結実する。その自信作はまず業務用としてレストランへ販売。そこで評判を集め、1984年に一般家庭向けの販売に再度チャレンジ。2食で220円。当時、チルド麺は1食30~40円。最初の発売時同様、今回も最初は取引先からの評判は芳しくなかった。しかし、営業担当と開発者はこの冷凍さぬきうどんの可能性を、熱く粘り強く語っていった。「この商品は必ず次世代の冷凍食品市場をリードする」と。
いつしか取引先も、「一緒に冷凍うどんを育てていこう」と、同じ想いを有する「仲間」に変わっていた。

C.T

営業担当の努力が大きかったですね。スーパーや団地などに出向きサンプルを配ったり、手製の屋台を作り全国のスーパーを巡りマネキン試食販売したりしていました。

営業担当者たちは、開発者を訪ね、何度も自分たちで勉強会を開き、知識や開発の想いを共有していた。「食べてもらえれば、わかるはず」。その想いで、ひとりでも多くの人たちに食べてもらうために通信販売用のギフトを企画したり、商品パッケージにメニュー提案のリーフレットを入れたりして、地道な努力を重ねていった。

そして、1989年。この頃から大きく売上が伸張した。最初の発売から15年。何度も大きな壁にぶつかった。あきらめればそこで「失敗」になっていた。たくさんの人たちのさぬきうどんに対する想いが、結実した結果だった。そして、今もまた、冷凍さぬきうどんは日々、進化を続けている。

I.H

自分だけがいい、と思うものではなく、営業担当者や取引先、そして消費者のみなさんも、みんなが例外なく品質・価格に「納得!」と思えるようなうどんをつくりたいですね。そのために日々、勉強です。

C.T

商品開発は失敗の連続。当然、失敗の方がはるかに多いので、落ち込んでいる時間なんてありません。ダメだったら、また最初からやり直せばいい。失敗の理由がひとつ見つかったんですから、うれしいことですよ。毎年だいたい300~500点くらいの商品開発を行いますが、そのうち市場に出回るのはリニューアルも含めて50~100点くらい。もちろんヒットする保証はありません。でも、世の中のたくさんの人たちが「おいしい」と言ってくれる冷凍うどんを目指して、これからも試行錯誤を重ねていきたいと思っています。

開発者たちの想いもまた受け継がれ、
発売当時から進化を続けている。