魚沼水の郷工場
製造部 製造担当
2001年入社
O.K
パックごはん製造ラインの責任者として、オペレーションや設備管理を担当。
魚沼水の郷工場
製造部 工務担当
2010年入社
N.H
工務担当として、工場全体のユーティリティー設備の管理を担当。
2016年12月、テーブルマークは魚沼水の郷工場(新潟県魚沼市)においてパックごはんの新製造ラインの稼働をスタートさせた。好調な売れ行きを示すパックごはん市場に対し、生産能力を増強し、安定的な商品の供給体制を構築するためだ。
魚沼水の郷工場は2010年にパックごはんの製造を開始した。日本有数の米どころである魚沼には、越後の山々からの雪解け水が地中でろ過された豊かな「伏流水」が流れており、良質な水が豊富な土地だ。魚沼水の郷工場では、米を洗う・漬ける・炊くというパックごはんをつくる全ての工程でこの魚沼のおいしい水を使用している。 近年、パックごはんの市場は、個食化や備蓄等の買い置き需要から増加傾向にある。また、テーブルマークのパックごはんは、加圧加熱技術やトレーごとに炊飯することで米の旨さを引き出すことにこだわり、そのおいしさには定評がある。米の銘柄や1食当たりの分量・食感など、品数を多数取り揃え、多様化する消費者のニーズに応えている。
2016年3月、魚沼水の郷工場パックごはん2号ラインの稼働に向け、具体的な準備が始まった。1号ラインと同じラインを作るのではない。より効率的な生産体制を目指した、新しいラインの構築である。
以前から、製造ラインの増設は私たちの願いでもあったので、決定したときは「ついに始まるぞ」という気持ちでした。既存の1号ラインは2010年から稼働していますが、それと同じ方式、同じ製造機械を使用していれば、すんなりと稼働させることができます。しかし、1号ラインで気が付いた課題をクリアして、より効率的に製品を作りたい。そのためには、製造ラインの方式や機械から見直さなければなりませんでした。新しいことにチャレンジしなければ発展はないのです。やりがいとともに重圧を感じました。
まず目指したのは、製造オペレーションとメンテナンス業務の軽減化です。
例えば、1号ラインの炊飯工程で使用している機械は、毎日の清掃に1時間半から2時間かかっています。また、機械自体の重量もあり、中には対応できない社員もいます。だから、清掃作業の軽減と機械の軽量化ができれば、誰でもオペレーションが可能になるし、清掃にかかっていた時間を生産にまわすことができる。単純に考えても生産能力がアップするわけです。
1号ラインで生じたあらゆる課題を製造機械メーカーに伝え、幾度となく手直しをしながら新たな生産方式の機械を設計してもらった。より良いものを追及した結果、実にライン全体の約7割が新しい方式の機械になったという。
生産効率を上げることを意識しながらも、既にある1号ラインで作る製品と品位に差があってはいけない。 異なる方式、機械を使いながらも品位を合わせていくことには、機械メーカーとのやり取り含め、かなりの労力をつぎ込みました。
ユーティリティー設備の面からは、省エネに特化したラインを作ることが構想の一つでした。ボイラーやコンプレッサーに関しては最新の機種を導入したことに加え、工場全体の断熱にも力を注いだので放熱ロスが少なくなり省エネにつながりました。
電気や配管の施工業者とは密にやりとりし、時には多少無理をお願いすることもありましたが、日々の業務で培った信頼関係がいざという時力を発揮しましたね。
全ての設備の準備が整い、搬入・試運転に入る。だが、机上で設計しているものと、実際運転させるのでは全く異なる。そこで待ち構えていたのは思いもよらないトラブルだった。
最初の山場は、機械設備の搬入でした。大きな機械は、小さいパーツに分けて搬入し、工場の中で組み立てるのですが、それが大変な数になります。どの搬入口からどういう順番で搬入するか交通整理をし、組み立てるんです。図面どおりに収まったときは、正直ホッとしました。
それから試運転です。実際機械を動かしてみて一番大変なのは、製品が全ての工程を滞ることなく流れることです。「加圧加熱」と「炊飯」の間、「炊飯」と「蒸らし」の間など、それぞれの機械と機械、工程と工程の間を製品が問題なく受け渡されるかどうかは、実際に動かしてみないと分かりません。想定していた不具合とは全く違う不具合が起こる。それが解決するとまた違う箇所で、思ってもない不具合があるんです。
それぞれの工程によって製造機械のメーカーが異なるので、現場でのすり合わせを密に行いました。
そこで大切だと思ったのが「現場経験」と、「当事者として関わる意識」です。今まで製造現場で経験したあらゆるトラブルを思い起こして解決方法を探り、複数の機械メーカーとも何度も協議しながら解決していきました。やはり工程全体を知っているのは機械メーカーではなく、現場の社員なんだということを強く感じました。
2016年12月、魚沼水の郷工場2号ラインが稼働を開始した。毎時1万食ものパックごはんを製造する、テーブルマーク随一の生産能力を誇る最新鋭の製造ラインだ。
この新ラインを導入するとき、工場長からは「思うようにやればいい」と言われました。上司は、現場を本当に信頼し、任せてくれている。困ったときは一緒に考えてくれる。「やってやろう」という気持ちで取り組めました。テーブルマークには、失敗を恐れずチャレンジさせてもらえる素晴らしい環境があるので、今後は、さらに効率・品位を高める取り組みを継続し、お客様のたくさんの笑顔につながる仕事をしていきたいですね。
実は、今回の新設ラインでも実現できなかったことがあります。例えば、洗米するとどうしても米のとぎ汁が出ます。現在は産業廃棄物として処理していますが、この量を削減することができるのではないかと。改善する余地はまだまだあるので、次のラインを構築する際の課題としてチャレンジしたいです。